このブログを検索

Ⅵ【映画関連コラム】40.【タイムライン】"Timeline"

【映画関連コラム】40.【タイムライン】"Timeline"(2003/米)


 偶然開発された不完全なタイムマシンで、若い考古学者たちが、14世紀英仏百年戦争中の南仏へ飛び込んでしまう話。ちなみに、タイトルは、ツイッターとかのTLとは無関係。

Ⅵ【映画関連コラム】39.【ONCE ダブリンの街角で】"Once"

【映画関連コラム】39.【ONCE ダブリンの街角で】"Once"(2007/愛)

 しょぼい街で、しょぼい街頭シンガーと、しょぼい花売りバイト娘の、しょぼい恋のお話、でもきっと泣けるよ!(ということで、予想外にヒットした映画らしい)

Ⅵ【映画関連コラム】38.【ロビン・フッド】"Robin Hood"

【映画関連コラム】38.【ロビン・フッド】"Robin Hood"(2010/米英)

 ラッセル・クロウのロビン・フッド。シャーウッドの森とか言葉だけは知っていたけど、なるほどこんな話だったのか。オバカ王ジョンとマグナ・カルタの成立が背景になっている。歴史的背景を踏まえてみると、映画の奥行きが違って見える。

Ⅵ【映画関連コラム】37.【4ヶ月、3週と2日】"4 Months, 3 Weeks and 2 Days”

【映画関連コラム】37.【4ヶ月、3週と2日】"4 Months, 3 Weeks and 2 Days”(2007/ルーマニア)


https://eiga.com/movie/53393/

 背景は、チャウシェスク独裁政権末期の無惨なルーマニア。ルームメイトの違法中絶の手助けをする羽目になった女子大学生の一日を淡々と描く。当時の社会で生きることの恐怖、不安、陰鬱が画面ににじみ出てくる。

 チャウシェスク独裁下では、無謀な人口増政策をすすめ、人工中絶も離婚も禁止した。そのせいで、親に棄てられた孤児が街にあふれ、強制収容された孤児院では、栄養失調対策に不衛生な輸血をして栄養を補給した。そして、幼児にエイズが蔓延したというひどい時代だった。

 ルーマニア革命 (1989年)によって逮捕されたチャウシェスク夫妻は、即時に銃殺され、そのシーンはテレビで公開された。一説によると、ソ連によって一発の原爆を与えられており、爆発指令を出さないように、即時に銃殺し、国民に認知させる必要があったという説もある。

Ⅵ【映画関連コラム】36.【サラエボの花】"Grbavica"

【映画関連コラム】36.【サラエボの花】"Grbavica"(2007/ボスニア・ヘルツェゴビナ)


 内戦の傷を抱えたまま人々が生きる貧しいサラエボの街。母から自分の出生の秘密を打ち明けられた娘の、ラストシーンの笑顔が忘れられない。


Ⅵ【映画関連コラム】35.【ダーティハリー】"Dirty Harry"

【映画関連コラム】35.【ダーティハリー】"Dirty Harry"(1971/米)


ダーティハリー Wikipedia

 言うまでもなく、俳優クリント・イーストウッドのアクション代表作。日本語字幕で「"Dirty Harry"=お不潔ハリー」となっていて、オネエ言葉のキャラハン警部を想像してしまった。ちょいとワラヒ


Ⅵ【映画関連コラム】34.「地獄の黙示録」"Apocalypse Now"

【映画関連コラム】34.「地獄の黙示録」"Apocalypse Now"(1979/米)


 <特別完全版/2001> 202分とさすがに長く感じたが、いくつかのエピソードが復元されて、一種ロード・ムーヴィー的な見方もできる。いずれにしてもカーツ大佐は戦争という謎だな。


Ⅵ【映画関連コラム】33.【ランジェ公爵夫人】"Ne touchez pas la hache"

【映画関連コラム】33.【ランジェ公爵夫人】"Ne touchez pas la hache"(2007/仏伊)

 ハリウッド映画ならまずありえないような、古風で地味なつくり。フランス小説の醍醐味である華々しい恋の駆け引きとか、期待しない方がいいかも。

 文豪バルザックの原作で、彼の世界を熟知した玄人好みの作品。

Ⅵ【映画関連コラム】32.【アンナ・カレニナ】"Anna Karenina"

【映画関連コラム】32.【アンナ・カレニナ】"Anna Karenina"(1948/英)ジュリアン・デュヴィヴィエ監督/トルストイ原作


「幸福な家庭はどれも似たようなものだが、不幸な家庭はそれぞれに不幸である」

 このような意味のフレーズをうろ覚えで記憶していたが、これがトルストイの『アンナ・カレーニナ』 の冒頭に出てくる言葉と知ったのは、比較的最近だ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%8A

 トルストイの「アンナ・カレーニナ」はずっと気にはなっていたが、実は原作を読んでいない。高校生の頃、河出書房版「世界文学全集」というのが実家にあって、『赤と黒(スタンダール)』『風と共に去りぬ(マーガレット・ミッチェル)』『カラマーゾフの兄弟(ドストエフスキー)』などは面白く読んだのだが、『戦争と平和(トルストイ)』と『誰がために鐘は鳴る(ヘミングウェー)』は途中で挫折した。

 「戦争と平和」はアウステルリッツ三帝会戦のあたりまで読んで、退屈して読むのをやめた。70年前後の当時、ソ連が国力をあげて「戦争と平和」や「アンナ・カレーニナ」の超大作映画を公開し、日本でも俳優座が河内桃子主演で「アンナ・カレーニナ」を上演するなど、かなりの話題になっていたが、結局アンナ・カレーニナを読むことはなかった。

 今回たまたま、ジュュリアン・デュヴィヴィエ監督・ヴィヴィアン・リー主演の「アンナ・カレニナ」(1948/英)を観ることになった。1948年と言えば自分の生まれた年、70年以上前の作品だ。オーソドックスなモノクロ画面で、ストーリーは分かりやすく展開されるので退屈することはなかった。

 デュヴィヴィエ監督は戦後日本で、「巴里の空の下セーヌは流れる」などで好評を博したフランスの監督で、この分かりやすさがその理由なのかも知れない。長編の原作を一時間半あまりの映画にまとめるために、登場人物はアンナを除いて、簡略に類型化されている。

 アンナの夫で高級官僚のアレクセイ・カレーニンは、政府の業務に熱心で世間体を気にする典型的俗物。若い貴族将校で社交界の花形ヴロンスキーは、アンナを魅了して駆け落ちするがその愛を貫けない。映画では少ししか登場しないが、実直真面目な農業主リョーヴィンは、アンナの義妹キティと平和な家庭を築きロシアの善意の体現者とされる。

 「平和はどれも同じで退屈だか、戦争はそれぞれに刺激的である」という風に、冒頭のフレーズを変換して記憶していた時期があった。それが「戦争と平和」に出てきたものと思い込んでいたが、違っていたようだ。

 「平和と幸福」「戦争と不幸」を同じレベルで対比するわけにはいかないが、トルストイはそれらを「善と悪」の問題として提示する傾向にあると思える。映画ではほぼ略されているが、原作ではアンナとヴロンスキーの恋愛と同等に、リョーヴィンとキティの築き上げる平穏な家庭の愛が対比される。

 そこで冒頭の「幸福な家庭はどれも似たようなもの」というフレーズが浮かんでくる。生活における「善と悪」の問題は、トルストイが生涯格闘した主題だろうが、もちろんトルストイは結論を提示しない。しかし「平和で幸福な家庭」は、どう見ても小説のテーマには向かないし、退屈に感じてしまうのであった。
 
 ヒロインを演じたヴィヴィアン・リーは、1939年『風と共に去りぬ』で華々しくデビューして10年余り、三十代半ばで最も脂ののりきった時期であり、その美貌も際立っていたが、鼻っ柱の強いスカーレット・オハラにはピッタリでも、アンナ・カレーニナの悲劇的な結末にはそぐわない気がした。

 その後の1951年の『欲望という名の電車』では、ヴィヴィアン・リーは南部の名家に生まれながら、落ちぶれて妹のアパートに逃げ込む未亡人ブランチ・デュボワを演じ、2度目のアカデミー主演女優賞を受賞する。容色の衰えも抱え込みながら気位の強さだけは持ち続ける演技は際立っていたが、私生活では双極性障害(当時は躁鬱病)に悩むぎりぎりの演技だったという。

Ⅵ【映画関連コラム】31.【ニューヨークの恋人】&【幸せのレシピ】

【映画関連コラム】31.【ニューヨークの恋人】&【幸せのレシピ】


【ニューヨークの恋人】"Kate & Leopold"
 (2001/米)


 『ローマの休日』と『卒業』を重ね合わせてひっくり返したようなメグ・ライアンのラブコメ・・・といっても何のことやら。まあ、観ても損はないか。



【幸せのレシピ】"No Reservations"
 (2007/米)

 今度はキャサリン・ゼタ=ジョーンズのロマンス・コメディ。突っ張って生きているシングル・ウーマンが、ひょんなことから恋に陥るという定番レシピですが、水準はクリアしたテイストに。

 ニューヨークのアパートに住むシングルウーマンの映画を続けて見たけが、どちらも階下や階上に住む男がからみ役として出てくる。つまり、階段の各階に一戸分だけの部屋がある造りになってるようだ。つまり、階上と階下だけがお隣さん。そこで、階下や階上の男とのちょいとしたやりとりが、シングル族の大都会での微妙な孤独感を印象付ける仕組みだな。

Ⅵ【映画関連コラム】30.【セント・オブ・ウーマン/夢の香り】"Scent of a Woman"

【映画関連コラム】30.【セント・オブ・ウーマン/夢の香り】"Scent of a Woman"(1992/米)


 「グラントリノ」のイーストウッドと同じように、失意のロートル退役軍人をアル・パチーノが演じている。比べて観るのもいいかも。最後はちょいとカッコ良すぎだが。

Ⅵ【映画関連コラム】29.【道】"La Strada"(1954/伊)

【映画関連コラム】29.【道】"La Strada"(1954/伊)

 粗暴な大道芸人のザンパノと、オツムが少々軽めの素朴田舎娘ジェルソミーナ。おもしろうてやがて哀しきフェリーニの名作に、ニノ・ロータの音楽が寄り添う。

 ちなみに、ジェルソミーナを演じたジュリエッタ・マシーナは、フェデリコ・フェリーニ監督の妻であり、フェリーニが心臓発作で73歳で死去するまで連れ添った。

Ⅵ【映画関連コラム】28.【ブレイブハート】"Braveheart"

【映画関連コラム】28.【ブレイブハート】"Braveheart"(1995/米)


 スコットランド独立の伝説的英雄ウィリアム・ウォレスの物語。関係ないが、ウォレスを略殺した英王エドワード1世はトランプカードのKINGのモデルということだ(一般的には別の偉人があてられていることが多く、いろいろなバージョンがあるようだ)。

Ⅵ【映画関連コラム】27.【ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場】"Heartbreak Ridge"

【映画関連コラム】27.【ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場】"Heartbreak Ridge"(1986/米)

 クリント・イーストウッド演出かつ主演で、タフで頑固な古参海兵隊軍曹として、ダーティ・ハリーをそのまま軍役につけたように、痛快乱暴にへなちょこ小部隊を鍛え上げます。

 「グレナダ侵攻」は、キューバ革命に懲りたアメリカが、レーガン政権の時に、グレナダ革命政府を打倒した事件。まあ、事件を知らないでもイーストウッドの活劇を楽しめばいいが。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%8A%E3%83%80%E4%BE%B5%E6%94%BB

Ⅵ【映画関連コラム】26.【みんな元気】"Everybody's Fine"(2009/米)

【映画関連コラム】26.【みんな元気】"Everybody's Fine"(2009/米)



 仕事を引退して妻を失い独り住まいの父親が、独立し各地で生活している子供たちを訪問する。幸せそうに元気でふるまう息子娘たちだが、それぞれに深刻な生活問題を抱えていることが分かってくる。

 マストロヤンニ主演の伊映画をリメイクした作品で、ペーソスただよう孤独な父親をデ・ニーロが演ずる。佳作だがその地味なテーマのため、日本では劇場公開されなかった。黒沢明監督が好んで取上げそうなテーマで、高倉健さんなどにもやらせてみたかった。

Ⅵ【映画関連コラム】25.【羊たちの沈黙】"The Silence of the Lambs"(1991/米)

【映画関連コラム】25.【羊たちの沈黙】"The Silence of the Lambs"(1991/米)


 天才的な精神科医、かつ凶暴な人肉食倒錯殺人鬼レクター博士のキャラ立ちがすごい。このキャラで名探偵シリーズにして、猟奇倒錯殺人事件を次々に解決、とかキボンヌ・・・とか書いてたら、ハンニバル・レクター ・シリーズってのがあるらしい。

 ハンニバル・レクターは、作家トマス・ハリスの複数の作品に登場する架空の人物。著名な精神科医であり猟奇殺人犯。殺害した人間の臓器を食べる異常な行為から「人食いハンニバル」(Hannibal the Cannibal、ハンニバル・ザ・カニバル)と呼ばれる。

 ホラーサスペンスで、怖いもの好きな方はどうぞ。

Ⅵ【映画関連コラム】24.【トラフィック】"Traffic"(2000/米)

【映画関連コラム】24.【トラフィック】"Traffic"(2000/米)


 アメリカおよびメキシコで麻薬組織と闘う政府高官や末端の捜査員たち。三つの物語が平行して進む。メキシカン捜査官バビエルが、地味ながらカッコ良い、と思ったらやはりアカデミー助演男優賞なんだ。


 ベニチオ・デル・トロ、プエルトリコ出身で、映画『チェ』では主演チェ・ゲバラを演じた。

Ⅵ【映画関連コラム】23.【バーダー・マインホフ 理想の果てに】"Der Baader Meinhof Komplex"

【映画関連コラム】23.【バーダー・マインホフ 理想の果てに】"Der Baader Meinhof Komplex"(2008/独)


 ドイツ赤軍派(通称:バーダー・マインホフ)の結成からウルリケ・マインホフとアンドレアス・バーダーの死までを描いた作品。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9B%E3%83%95_%E7%90%86%E6%83%B3%E3%81%AE%E6%9E%9C%E3%81%A6%E3%81%AB

 日本でも過激な左翼闘争が吹き荒れた時代だが、どうしても同時代人として、この手の事件への感想は重たくなってしまう。ウーリ・エーデル監督の目線は、一定の距離を置きながら、内面の矛盾を抱えこんで独房で縊れた元女性ジャーナリストのウルリケ・マインホフに寄り添っているようだ。




Ⅵ【映画関連コラム】22.【パルムの僧院】"La Chartreuse de Parme"

【映画関連コラム】22.【パルムの僧院】"La Chartreuse de Parme"(1948/仏)


 「赤と黒」は二度ほど読んだが、「パルムの僧院」は表題から抹香臭い僧院の話を連想して手をつけてなかった。しかしさすがはスタンダール、僧院は最後に出てくるだけで、実は「赤と黒」ばりのかなりの活劇ロマンスだった。

「パルムの僧院」 https://eiga.com/movie/48182/

 ジェラール・フィリップは、スタンダールの作品には欠かせない二枚目役者で、「赤と黒」にも主演している。ドストエフスキーの「白痴」、ラディゲの「肉体の悪魔」、ラクロの「危険な関係」などの名作物に出演し、1950年代フランス映画界の貴公子であった。惜しくも36歳の若さで死去、フランスのジェームズ・ディーンとも呼ばれる。