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Ⅵ【映画関連コラム】13.ニクソンを取り上げた映画

【映画関連コラム】13.ニクソンを取り上げた映画


 リチャード・ニクソンは、中華人民共和国やソ連を歴訪して、政治的緊張を緩和させ、泥沼のベトナム戦争を何とか終わらせた。さらに経済対策ではドル防衛のため、米ドルの金兌換停止を宣言して、ニクソン・ショック(ドル・ショック)と呼ばれる衝撃を世界に与えた。

 ベトナム戦争で疲弊した国力を立て直すために、迅速に対策を打ち出したたニクソンの政策は評価され、1972年アメリカ合衆国大統領選挙では圧勝した。しかし、やがて「ウォーターゲート事件」が発覚し、側近らと汚い言葉で話す様子なども暴露されると、それまでのニクソン人気は一転して地に落ち、国会の弾劾に直面すると進退は極まり、1974年テレビの会見で辞任を発表する。

 ニクソンはカリフォルニア州で、苦学をしながらも奨学金を得て、地元大学からロースクールに進み、弁護士資格を取って開業するも、太平洋戦争が始まると、ニクソンは士官募集に応募して海軍に入隊する。

 終戦とともに、ニクソンは弁護士業から政治に転出し、カリフォルニア州で共和党から下院議員に当選する。東西冷戦下、ソ連との緊張激化の中でニクソンは、下院非米活動委員会のメンバーとなると、「反共の闘士」として名声を得る。

 これらのニクソンの半生はあまり語られることなく、1960年合衆国大統領選挙での有名なJ・Fケネディとの対決と、その予想外の敗北や、その後不屈の闘志で再起し大統領となり、ベトナム戦争で疲弊したアメリカを立て直すために迅速な手を打ち、第37代合衆国大統領政治家として絶頂期を迎えるも、「ウォーターゲート事件」で辞任に追い込まれたことで、その名を記憶されることが多い。

 このような、ジェットコースターのような上下動の激しいニクソンの政治生活は、何度も映画などで取り上げられた。『ニクソン "Nixon"』(オリバー・ストーン/1995)では、カリフォルニア州に生まれ、フットボールに打ち込んだ青年時代から、政界入りを経て1968年に第37代アメリカ大統領に就任したリチャード・ニクソンの半生を描いているが、やはり辞任のきっかけとなったウォーターゲート事件と、精神的に追い込まれていくニクソンの姿に焦点を当てて描かれる。

 一方、『フロスト×ニクソン "Frost/Nixon"』(ロン・ハワード/2008)では、ウォーターゲート事件でホワイトハウスを追われながらも政界復帰を目論むニクソンと、米国進出を狙う英国出身のテレビ司会者フロストが、それぞれの思惑を秘めつつ、2人が一進一退の攻防を繰り広げる”トークバトル”とその舞台裏を、緊迫感をもって描いている。

 映画から見るニクソンという人物は、良くも悪くも、彼は「痛い人」に思われて、変に共感した(笑)

 もう一つ、『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男 "The Assassination of Richard Nixon"』(ニルス・ミュラー/2004)も観たが、これは私生活で失敗し、不器用な性格でもがけばもがくほど事態を悪化させてゆくダメ男を、ショーン・ペンが演じ、やがて鬱憤の矛先をニクソン大統領に向けてゆき、大統領暗殺を画策しハイジャックするも、あっさり射殺されるというしょぼい話。お奨めはしないけど、良い映画です。

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