【映画関連コラム】63.【髪結いの亭主】”Le Mari de la coiffeuse”(1990/仏)
髪結いの亭主 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%AA%E7%B5%90%E3%81%84%E3%81%AE%E4%BA%AD%E4%B8%BB
一種の恋愛映画なんだろうが、何とも不思議な作品だった。覗き見癖のあるオタク風主人公アントワーヌも変だが、彼が見染て妻になる髪結い(理容師)マチルド(アンナ・ガリエナ)も謎だらけ。その過去も内面もほとんど描かれないで、幸せな夫婦生活を10年間も送りながら、唐突に増水した川に飛び込んで自殺するし、その理由も描かれない。それでも何故か、深い印象を残す映画だった。
「髪結いの亭主」という言葉は、「妻の収入で楽な暮らしをする亭主」を指す日本固有の言い回しかと思ったが、フランスでも同じニュアンスで使われるのだろうか。しかも映画ではあきらかに、マチルドは男性客中心の「理容師」なので、厳密にいえば「床屋」なのだが、原題の ”la coiffeuse” を自動翻訳してみると「美容師」と出る。
そもそも江戸時代には、「髪結い」と「床屋」があったが、必ずしも今の美容師・理容師とぴったり重なるものではないし、フランスでも理容師と美容師の区別はあるのだろうか。
いずれにせよ、亭主の変態オタク風アントワーヌが主人公だから『髪結いの亭主』というタイトルになったのだろうが、ラストで謎の自殺をしてしまう妻のマチルドのシーンが劇的である分、マチルド中心の映画だともとらえられる。そんなわけで、「髪結い亭主」とのタイトルには、いささか違和感を感じる。
そして、他人からはうかがい知れない夫婦の間柄は、なぜか、子供のころ近所に住んでいた「ひょうたん屋」の老夫婦のイメージが重なるのであった(笑)
http://d.hatena.ne.jp/naniuji/20150904
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