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Ⅱ【思想コラム】01.サルトルとボーヴォワール来日

【思想コラム】01.サルトルとボーヴォワール来日


 1966年9月、サルトルとボーヴォワールが来日した。この時期、戦後の実存主義ブームも下火になり、構造主義からの批判にもさらされていたサルトルは、「アンガージュマン」(政治・社会 積極参加)を唱えて左傾化していた。しかし来日時には、そういう事情にうとい日本のインテリ層には大歓迎された。

 同伴者として来日したボーヴォワールは、代表作『第二の性』で「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」と宣言し、昨今のジェンダー論の先駆ともされる。サルトルとは「契約結婚」という前衛的な関係を結んだが、その後もサルトルの死までの50年間「同伴者」として歩むことになる。

 若きサルトルはサン=ジェルマン=デ=プレのカフェで、ボーヴォワールに「このコップ一杯の水からも哲学ができるんだよ」といって、彼女のナンパに成功したという話が、私の頭の中にでき上っている。実質、サルトルはボーヴォワールを「都合のよい愛人」として扱っていたのではないかという疑念がある。そしてボーヴォワールも、思想的にはフェミニズムの旗手であるにも関わらず、サルトルには「女」として従っていたのではないかと思われる。

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