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Ⅳ【食と文化コラム】02.たこ焼きとキャベツのお話し

【食と文化コラム】02.たこ焼きとキャベツのお話し


 たこ焼き発祥地大阪を始め、大半の関西では、たこ焼きにキャベツを入れないで、中のとろみを楽しむ。しかし、たこ焼き後進国の関東を始め、他の地域はキャベツを入れる。これは何故か?

 実は、京都ではキャベツをたっぷり入れる。子供の頃、近くの神社の境内で、屋台でたこ焼きを焼いていたオバサンは、確かにキャベツを、焼き面に広げるように入れていた。

 柳田國男の「蝸牛考」によると、都に発生した新しい言葉は、水紋のように同心円を描くように全国に広がってゆくと言う。同様にたこ焼きも、大阪で始まって関西一円に広がった。ところが京都では独自の発展をとげ、キャベツを入れて腰のあるたこ焼きとなった。

 そうすると、大阪発のたこ焼きは関西を周縁として止まり、京都のキャベツ入りたこ焼きが、その他のたこ焼き不毛の地に展開していったのではないだろうか。

 大阪が「たこ焼き」の発祥の地とされているが、一方で明石名物の蛸に始まる「明石焼き」というものがあり、神戸あたりまでは浸透している。明石焼きは、卵中心の生地にタコを一切れ入れるだけで、ふわふわした触感を楽しみツユに付けて食べる。

 ルーツは異なるという説もあるが、大阪のたこ焼きも、小麦粉を出汁で溶いた生地に、タコだけ入れて焼くのが主流で、他のものを入れても、せいぜいが紅生姜、天かす、刻みネギなどで、主要な具というよりも振りかけるものという感じである。

 明石焼きの影響を受けたのかどうかは分からないが、タコだけでキャベツなどいっさい入れない点では共通項がある。他方、わたしが育った京都ではキャベツをたっぷり入れて、腰をつくるように焼く。これは大阪人に言わせると邪道だということになる。

 大阪をはじめとして関西圏ではキャベツを入れないたこ焼きが普及してるが、京都や滋賀ではキャベツをたっぷり入れる。そして他の後発地域でもキャベツ派が多い。これは明石焼きなどの伝統の無い地域では、キャベツをたっぷり入れるお好み焼きの延長線上の発想から、そうなったのではないか。

「たこ焼きキャベツ論争」 http://kitchen-tips.jp/29001

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